第25章 フリコ ト カコ
「いえ、信じます」
「信じてくれて嬉しいよ」
ニコッと笑う。
「(偽物の笑顔…)」
「キミは二番隊隊長の浦原喜助だろう?四楓院夜一の推薦で隊長に昇格した。前は隠密機動にいたんだよね?」
「はい」
「これからよろしく」
「こちらこそ」
浦原は差し出された手をギュッと握る。
「!」
「どうかした?」
「…いえ」
「ならいいけど」
「(…一瞬…何か強烈な“違和感”を感じた…気のせいか…?)」
「大変だろうけど頑張ってね」
「ありがとうございます」
◇◆◇
ある日、霙を連れて外を歩いていると長髪の男に出くわした。
「ひらりーん!」
「!」
霙が手を振って元気よく名前を呼ぶと、名前を呼ばれた男は彼女の声に気付いてこちらを見た。
五番隊隊長────平子真子。
「なんや、梨央に鬼灯やないか」
「何してるのー?」
「オマエら流魂街での変死事件知っとるか?」
「変死事件?」
「なんや知らんのかいな。
随分前に報告書届いてる筈やろ」
「あー…」
マジか、とでも言うような表情を浮かべる。
「もしかして読んでないんか?」
「やだな、ちゃんと読んでま────」
「多分あの書類の山の中だねぇ〜」
否定しようとしたら霙が思い出したように答える。
「きっと埋もれてるよ!」
「霙、余計なことは…」
「サボってんのか」
「サボってません」
「報告書読んでないんやろ?」
「勘弁して下さいよ…こないだ整理し終えたばっかなんですから。またあの山の中から探さなきゃいけないじゃないですか…」
「どんだけ放置してんねん」
平子は呆れたように言う。
「あんま駄々こねるなや。高峰が可哀想やろ」
「駄々こねてません」
平子の説教に苛立って顔を背ける。
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