第23章 タタカイ ト ブキミナコエ
「虚閃(セロ)」
ドルドーニの指先から赤い閃光が発射される。その威力は想像してたよりも遥かに凄まじかった。
「ネル!!」
一護の前に飛び出したネルは虚閃を止める。
「…ネ…ネル…!?」
「…虚閃を…止めた…!?」
「うぐ…ぐぅ…ぐぐぅ…」
するとネルは大きな口をあけて虚閃を呑み込んだ。
「の…飲んだだと!?」
「うう…うう〜〜〜」
ネルは身体を震わせて、虚閃を飲み込んだ口を押さえている。
「ぶぁっ!!!」
「!」
吐き出すように開かれた口から発射された虚閃がドルドーニに向かって一直線に伸びる。
「い…一護に…一護にひどいこと…するなっス…」
ドンッ
ドルドーニの足でネルは蹴り上げられる。
「ネル!!」
「…フン…お嬢ちゃんが何者かは知らんが…大したものだ。解放状態の我輩の虚閃を弾き返すとは…」
吹き飛ばされたネルの身体は地面に叩きつけられる。
「だが…少々おいたが過ぎるんじゃないかね?」
ドルドーニは片足を流すように振り抜く。
「失せ給え!!!」
蛇の形をした竜巻が現れ、ネルを襲う。
ザシュッ
「!」
一本の刀が蛇の形をした竜巻を切り裂く。
「幼児を蹴るなんて最低だな。言わせてもらうが…キミこそ調子に乗るなよ。少しおいたが過ぎるぞ」
「ほぉ…お嬢さんが相手をしてくれるのかね?」
「いや、まだ力を貸してくれと頼まれてない。私はキミに攻撃はしない」
「……………」
「それに…私の『希望』はまだ、諦めてない」
自信に満ちた笑みを浮かべる。
「これくらいの加勢は許してくれ」
梨央が苦笑し、ドルドーニが背後を振り返った瞬間、肩が斬られ、多量の血が噴き出す。
「…そんなに見たきゃ見せてやるよ…待たせたなオッサン、こいつが俺の卍解だぜ」
「…成程、待ち侘びたよ坊や」
一護は知らぬ間に卍解をしていた。
「梨央」
「何?」
「ネルを守ってくれ」
「任せて」
そして二人の戦いは始まった。
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