第22章 サンケタ ト ハクダツ
「…着いたな…」
「…しかしこの壁…どうしたものか…どうやら殺気石ではないようだが…」
「殺気石じゃねーんなら力尽くでイケるって訳だ!いくぜ恋次!」
「仕切ってんじゃねーよボケ!」
刀を抜いた二人は壁をぶち破る。
「…貫通したか?」
「らしいな。風が抜けてる」
「…な…なんてコトするスか!!門なら向こうに三日程歩いたトコにあるんスよ!!」
「アホ、友達の家じゃねーんだぞ。
正面から入るわけねえだろ」
「三日も歩くほどヒマもねえしな」
「歩くのも面倒になるしねー」
「いや…これから歩くんだけど…」
「疲れたらおぶってもらうし平気♪」
「(平気とは!?)」
笑顔でさらりと言った梨央に一護と恋次が顔を見合わせる。
「気を付けろ恋次、俺かオマエのどっちかだぞ」
「石田やチャドなわけねえもんな」
「“誰に”…とは流石に聞ける空気じゃねえし」
「“そんなの言わなくても分かるでしょ”って笑顔で返されそう…」
「やめやめ。本当に実現する」
「けどよ、どちらかといえばお前だろうな」
「…俺もそう思う。」
愕然と肩を落として項垂れる一護。
「いやァ…言い忘れてたよ」
「「!」」
「私、地獄耳なんだ」
「「!?」」
小声で話す二人の会話は全て筒抜けだった。
「…ネル、アリガトな。ここまで連れて来てくれて。これ以上関わるとオマエらまで裏切り者にされちまう…お別れだ。じゃあな!」
「ま…まつっス」
「ああっ!ネル!!」
「ネルたつはもう…ルヌガンガ様に見つかった時点で裏切り者っス!!イヤ…もしかスたらそれよりずっと前から藍染様はお見通しだったかもスれねっス!!」
ネルは前を走る一護達を追いかける。
「藍染様はそれを決してお許しにならねえお方っス!!もし藍染様かお許しになっても十刃のヒトたちがお許しにならねっス!!連れてってくんなきゃ…つれてっ…うう…っ泣くっスよ!!うぶぶ…ぶえええええ!!!」
「あーあ、泣かせた」
「俺のせいかよ!?」
「乙女心がわかってないなー」
「余計なお世話だ!!」
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