第22章 サンケタ ト ハクダツ
「い…一護のアホ〜!!ハゲ〜!!うんこたれ〜!!」
「わかった!わかったから泣くな!!」
「インポ〜!!」
「インポじゃねえっ!!」
「大声で何を叫んでおるのだ」
「童貞〜!!!」
「うるせえっつッてんだ!!!」
こうして泣き喚くネルも同行することになった。
「…しっかし分厚い壁だな…いつまで続くんだよ…暗くて何も見えやしねー」
「フ…しょうがねえな…俺に任せとけ!」
「何だよ?何か手があんのか?」
「黙ってみてな!ちょっとヒネれば鬼道だってこんな使い方もできるんだぜ。破道ノ三十一、赤火砲!」
バフッ
詠唱破棄を唱えた恋次の掌に小さな明かりが灯る。
「…………………」
「へえ、随分と小さい明かりだな。君がそんな控えめな奴だとは知らなかったよ」
「たわけっ!下手のくせに格好つけて詠唱破棄なんぞするからだ!」
「まるで心の狭さを表してるかのようだね〜」
「…気にすんな。赤い髪で明るさはフォローできてるって。ホラよく言うじゃねーか、トナカイさんが真っ赤なお鼻で────」
「うるせえよッ!!!」
ダンッ
「…抜けたみたいだね」
「…やはりここも暗いな…」
「……………」
「そう落ち込まないでよ恋次くん。ただ今回は絶不調だったってだけで次はきっと上手くいくよ。まぁ…どんまい☆」
「お前の言葉が一番グサッとくるんだよ!!なんだ心の狭さを表してるって!!こんなに小さくねえわ!!」
「わはは」
「そこまでバカにすんならお前はできんのかよ」
「詠唱破棄?そんなの簡単だよ〜」
梨央は掌を上に返すと詠唱破棄を唱える。
「破道ノ三十一、赤火砲」
ボッ
「おお、さっきより全然明るい」
「オマエのとはえらい違いだな」
「なんだか本物を見た気がするよ」
「…………………」
「何か言いたいことがあるなら聞くよ?」
「心の狭い奴でスミマセンでした…。」
パッと明かりを消す。
すると暗闇で何も見えなかった空間に明かりが灯った。
「…別れ道か…!」
「面倒な処に出ちまったな…」
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