第21章 オリヒメ ト ユウカイ
《余程信頼してんだな、そいつらのこと。》
「信頼というよりは信じてるんだ。彼らなら必ず彼女を助けてくれるって。だから私も友達の為に全力を尽くす」
《やれるんだな?》
「私を誰だと思ってんの」
《そうだな。お前は死神最強で、零番隊の隊長で、俺の…自慢の妹だったな。》
「そうだよ。私はキミの自慢の妹。
だから敗ける気ナシ!」
ニカッと笑って見せる。
「破面をぶっ倒して必ず勝つ。
そしてみんなで帰るよ」
《信じてる。お前は誰よりも強い。俺がいてお前が敗けるはずねえだろ?》
「格好いいお兄ちゃん!」
《お兄ちゃん言うな。》
「今のキュンとした!恋人ぽかった!
ね、もう一回言って!」
《もう言わねえ。》
「えーケチ!」
《何がケチだ阿呆。》
「むふふ…ねぇ蒼生くん」
《おい、気色悪い笑い方すんな。》
「私のこと、好き?」
《あ?何言っ…》
笑んだまま、優しげな眼差しでじっと蒼生を見つめる梨央。それに小さく溜息を吐いた蒼生は面倒くさそうにしながらも答える。
《好きに決まってんだろ。》
「うん!私も大好き蒼生くん!」
満面の笑みで嬉しそうに言った。
《つーか何言わせんだ阿呆。》
「兄妹愛を確かめたかったの!」
《妹を嫌う兄貴はいねえだろ。》
「えへへ、蒼生くん、好き!」
《何回も言わんでも知ってるっつーの。》
「ふふっ」
ニコニコと笑う梨央は気分を良くしたのか、鼻歌を歌い始める。
《そうだ。“夜遊び”すんならジジイに咎められない程度に暴れろよ。》
《また説教が長えからな。それと…あの連中にも目を付けられるのは勘弁ならん。》
「気をつける」
《俺はお前の味方だ。絶対に裏切らない。もしお前が道を踏み外したら俺が救ってやる。》
「!」
《だからそうやってずっと笑ってろ。俺はその顔が見られるならどんなことだってする。》
「…うん、ありがとう」
《じゃあ、気を付けて行って来い。》
「行ってきます!」
蒼生との通信を終え、梨央は顔を引き締め、部屋を出た。
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