第20章 モクテキ ト オウケン
《『重霊地』とは『現世に於ける霊的特異点』を指す。その場所は時代と共に移り変わりその時毎に現世で最も霊なるものが集まり易く霊的に異質な土地をそう呼称する。》
《…もう判るじゃろう。藍染の狙う『重霊地』それは『空座町』じゃよ。》
「!!」
《十万の魂魄も半径一霊里の重霊地も現実離れしとって上手く感覚では掴めまい、噛み砕いて教えよう。》
《藍染がもし文献通りのやり方で『王鍵』を完成させた場合─────空座町とそれに接する大地と人が全て世界から削り奪われ消え失せる。》
「…そ…そんな…」
震える拳を握り締め、顔を曇らせる織姫は不安そうに聞く。
「…止める…それを止める手だては…あるんですか…?」
《────無くとも止める。
その為の護廷十三隊じゃ。》
その言葉に織姫は顔を上げる。
《それに、そこにおる梨央は零番隊の隊長じゃ。最強戦闘部隊を束ねる実力の持ち主。零番隊程心強い隊はおらぬ。》
山本は微笑み、梨央を見た。
《…微かじゃが時間はある。涅からの情報によれば魄内封印から解かれた崩玉は強い状態にあり如何なる手段を用いようと完全覚醒まで四月はかかるということじゃ。》
《崩玉が覚醒せねば藍染も手駒を揃えられぬ。
奴が動くのはそれからじゃ。》
《決戦は冬!》
《それまでに力を磨き各自戦の仕度を整えよ!》
「「「はい!」」」
《────そして井上織姫。》
《藍染が狙うのは現世じゃ。我々だけでは対処できぬ場合もあろう…現世側の力添えも必要じゃ。》
《…そう黒崎一護に伝えてくれるかの。》
「はい!」
「じゃあ私は零番隊のみんなに伝えて来ます」
「あたしも一角達に知らせて来ます総隊長」
「ああ、俺も行く」
《…おっと少し待ってくれんかの、日番谷隊長。》
《お主と話したいと先程から此処でずっと話の終わるのを待っておった者が居るのじゃ。》
《少し話を聞いてやってくれ。》
山本の後ろからスッと姿を現したのは…
「────…お前…」
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