第20章 モクテキ ト オウケン
「これは忠告だ。近いうちにお前達は仲間を失い、新たな運命を辿るだろう。その時お前は知る事になる。どんなに強い絆で結ばれていても、結局は裏切られ、壊れることを」
「……………」
「よく覚えておくんだな───零番隊隊長」
素っ気なく言い残すと名も亡き人形と名乗った人物は暗闇に紛れて姿を消した。完全に気配が消え去ったのを確認してから刀を鞘に戻す。
「…黒い空なんて縁起が悪い」
その後、伝令神機に届いた報告によると、日番谷先遣隊は悪戦苦闘しながらも限定解除のおかげもあってか、破面を倒すことに成功。
そしてグリムジョーと戦闘を交えた一護は、惜しくも敗れてしまった。
◇◆◇
翌日、焼いたクッキーを持って織姫の家を訪ねた。
「織姫ちゃーん!私が織姫ちゃんの為に愛情を込めて焼いたクッキー食べながらガールズトークでもしーよーおー!」
近所迷惑など御構い無しに梨央の声が響く。ニコニコと笑みを浮かべて待っていると、ドアが開き、乱菊が出迎えた。
「丁度良かったわ」
「乱菊さん?」
「あんたも入って」
訳が分からず部屋に上がると、そこには織姫と日番谷もいた。
「伝える手間が省けたな。
仁科、オマエも聞いていけ」
「……はぁ?」
日番谷は目の前にある巨大モニターに視線を移す。
「十番隊隊長、日番谷冬獅郎だ」
《はい、お繋ぎ致します。》
すると山本の姿が映し出される。
「そ…総隊長さん…?」
《…流石に仕事が早いのう日番谷隊長。》
《…今回緊急に回線を用意してもろうたのは他でもない。》
《藍染惣右介の真の目的が判明した。》
「…藍染の…真の目的…!?」
《如何にも。》
「…あ…な…なんか重要そうなお話だから…あたし席外しとくね!」
《…待ちなさい。》
出て行こうとする織姫を山本は呼び止める。
《お主ら人間にも関係の有る話じゃ。》
《…聞いていきなさい。》
「──……はい……」
《…藍染が消えてから一月、藍染が起臥しておった五番隊隊首室、そして潜伏しておった四十六室地下議事堂清浄塔居林及び大霊書回廊の調査が続いておるのは知っておるな。》
.