第14章 零番隊vs護廷十三隊
「はぁ?なに甘いこと言ってんのよ」
詩調の表情が歪む。
「あんた達は子供のお遊びとでも思ったの?玩具の剣で死なない勝負をしてるとでも思ったの?これは戦いなの。命を懸けてんのよ。死ななかっただけ有難いと思いなさい」
立ち去る間際、詩調は気絶している檜佐木を冷たい眼で見下ろす。
「次は無いわよ」
「勝負あり!!勝者、一色詩調!!」
あまりの力の差に隊士達は言葉を失う。
「しぃちゃんおかえりー!」
「お疲れ様」
「もっと潰しておけば良かったわ」
苛立つように詩調は舌打ちをする。
「でも悔しい…こんな形でしか隊長の仕返しができないなんて」
「もう十分だよ、ありがとう」
それからの試合は全勝だった。
琉生が対戦相手として指名したのは吉良だった。彼は結界の外にいる女の子達にウインクを捧げ、時には甘い言葉で虜にし、彼女達が黄色い声を上げれば手を挙げて応える。だが不真面目で女にだらしない琉生を許せず、苛立った吉良が始解をして応戦するも、琉生には通用せず、完全勝利で片がついた。
雅の相手は雛森桃だったが、争いを嫌う彼は一度も鞘から刀を引き抜くことなく、冷静な対応で彼女を上手く棄権に持ち込むことに成功した。雅が、去ろうとする雛森に『血を流させないでくれてありがとう』と感謝の言葉を伝えると、一瞬驚いた顔をした雛森だったが、どこか複雑な表情を浮かべていた。
蒼生の対戦相手は東仙要だった。最初は加減して戦っていたが、東仙が口にした流歌に対する侮蔑の言葉に我慢が利かず、刀を引き抜き、東仙の腹部を貫いた。真っ赤な鮮血が宙を舞い、更にトドメを刺そうとする蒼生に山本の杖が強く床を打ち付ける。ピタリと止まった蒼生は自身を落ち着かせるように深呼吸をすると刀を収め、勝利した。
「最後はバシッと決めちゃって!」
「相手は?」
「藍染と市丸…と言いたいが…」
一人の人物に視線を向ける。
「阿散井副隊長」
「!」
「僕と勝負しませんか?」
作り笑いを浮かべると恋次は怖い顔で流歌を睨む。
「遊びすぎんなよ」
「わかってる」
「頑張れ」
「頑張る」
笑い合うと、流歌は結界の中に入って行く。
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