第14章 零番隊vs護廷十三隊
「檜佐木副隊長!!」
「無事なのか!?」
「あの炎じゃ一色も無傷じゃ済まねえだろ…」
「相打ちか…?」
「煙で見えないわ」
隊士達はあまりの出来事に衝撃を受け、檜佐木の安否を心配する。だが流歌達に慌てた様子はなく、平然と結界の中を見つめている。
「やっぱ溶けたねー」
「制御装置があって良かったっスね」
「無けりゃ俺達以外はみんな仲良くあの世行きだ」
「むしろこの隊舎が吹き飛んでたよ」
「此処だけじゃ済まないだろう。彼女の霊圧領域の範囲を考えれば…」
「うわー…考えたくもないっス」
「さて琉生、準備してくれ」
「リョーカイ♪」
しばらくして白煙が薄れていき、視界が晴れる。隊士達はごくりと喉を鳴らし、その時を待つ。
「あ!誰か立ってるぞ!」
「檜佐木副隊長か!?」
「どっちが勝ったの…?」
「なァ…誰か倒れてる」
「え?」
全員の視線が“立っている人影”では無く、地面に“倒れている人影”に集中した。
そして……
「きゃあああ!!」
「ひ、檜佐木副隊長!!」
全身に火傷を負った檜佐木が俯せで倒れていた。腕や顔の皮膚が炎症を起こし、気を失っている。彼の重傷の酷さに目を見開き、手で口を覆う者もいた。
「一応加減してあげたわ」
分厚い氷の壁が喋った。いや、正確には氷壁の後ろにいる詩調が喋っているのだ。
「な、何だ…!?」
「氷の壁…?」
ピシッと氷の壁に亀裂が入ると粉々に砕け落ちた。詩調の手には刀が握られている。刀身が冷気を発していた。
「まさか…一色の斬魄刀って…」
「氷雪系よ。名前は『雪月花』。あたしの斬魄刀の能力は雪や氷を創り出す事。雪月花こそが氷雪系最強の斬魄刀なのよ」
炎が檜佐木に直撃する寸前で鞘から刀を抜いた詩調は瞬時に始解をし、分厚い氷の壁を創り出して、身を守ったのだ。
「氷雪系最強…」
「氷の壁で防ぐなんて卑怯だろ!!」
「どこが卑怯なの?」
「!」
「これは勝負なの。敗けたら終わりなのよ。戦いに卑怯も何もないわ。それともあんた達はあの男が無傷でいられると思ってたの?」
「勝負でここまでやるのかよ…」
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