第14章 零番隊vs護廷十三隊
「風死って不思議な形してるよねー」
「『命を刈り取る形』だろう?」
「言われてみれば確かにそんな形…」
「だがうちの五席殿には勝てんよ」
「しぃちゃんは凄いもんね!」
特殊な形をした二枚の互い違いの刃が付いた鎌が詩調を捉える。
「どうした。恐怖で身体が竦んで動かねえか?」
鋭い鎌が詩調の首元に迫る。
“仕留めた───!!”
檜佐木は勝利を確信し、ニヤリと笑う。
「一色──!!」
声が響いた。心配そうに叫ぶ声が。詩調はチラリと視線だけを動かし、声がした方を見る。そこには、結界に手を付き、不安そうな表情でこちらを見る乱菊がいた。
「(乱菊さん…)」
「これで終わりだ!!」
「(ああダメね…あの人にあんな顔をさせたままは…)」
ふと小さく笑い、風死が首に触れる寸前で、瞬歩で消えて攻撃を躱す。
「何!?」
驚く檜佐木の背後で微かに音がした。バッと後ろを振り返ると顔色一つ変えない詩調が平然と佇んでいる。
「チッ!」
予想外の事に一瞬慌てた檜佐木だが、冷静に対処し、再び鎖部分を自分の元に引き寄せ、身体を反転させ詩調に向けて投げ飛ばす。
「言った筈よ。風死の心が読めれば問題ないって。だから…もう終わりよ」
冷たい瞳を向け、掌を真っ直ぐ伸ばす。
「零道ノ三十三『炎呵風爆』」
炎が光線のように勢い良く掌から放出された。詩調の赤い髪が風圧で乱れる。
「!?」
猛スピードで迫ってくる炎に檜佐木は咄嗟に刀で防ごうとする。
「そんなのでどうにかなるわけないでしょ」
「しまっ───……!!」
檜佐木に直撃した炎は大きな爆発音を響かせた。
ドォォォン!!!
「きゃあああー!!」
「うわああ!!」
「揺れるぞ!!」
「床に伏せろ!!」
結界の中が白煙で充満し、拡散した火の粉は何重にも張り巡らされた分厚い結界をも溶かす。
「と、溶けてる!?」
「熱ッ!!」
結界の外にいる隊士達は地肌に直接触れているかのような熱さを感じた。
「何つー熱さだよ…」
「結界があって助かったぜ…」
「それにしても凄い衝撃だったわ…」
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