第14章 零番隊vs護廷十三隊
「あんな奴に憧れを抱くなんて…」
「てめえにゃ関係ねーだろ。俺が誰に憧れようが」
「それもそうね。憧れるのは自由だわ。けど…あの男が今のあんたを見たら失望するでしょうね」
「……………」
「あんたがあいつに憧れた理由も知ってるわ。例えば…その三本筋の傷痕の経緯も…」
「…気色悪ィ奴だ」
「何ですって?」
「てめえがあの人の事を知ってようが関係ねえ。これ以上無駄口叩いてると死ぬぜ」
「あたしだってあんたの過去なんか全く興味ないわよ。あんたは隊長を傷付けた。そして仲間も傷付けた。絶対に許さないわ」
詩調は檜佐木に向けて腕を伸ばし、掌を開く。
「腕でも斬り落として欲しいのか?なら…望み通り斬ってやる」
鎖部分を持ち、武器全体を回転させて、檜佐木は詩調を睨む。
「あーあ、早まったことするっスねぇ」
「大人しく降参しとけば怪我せずに済んだのに〜」
「自殺祈願者だな」
「死に急ぐのは良くないね」
「雛森桃が鬼道の達人なら詩調は零道の達人だな」
「ふふ」
両手で口許を覆い、楽しげに笑いを溢す霙。
「面白いなあ♪」
「少し結界から離れようか」
「結構揺れるかもね」
「詩調チャン容赦ねーっスから」
流歌達はこれから起こる事態を回避する為、結界から距離を取る。
「こいつの動きが読めねえだろ?どこから攻めて来るかも予測不能だ。てめえはこいつの動きをどう読む?」
「愚問だわ」
「何?」
「斬魄刀の“動きは”読めなくていい」
「?」
「“心さえ読めれば問題ないわ”」
「どういう事だ?」
「あたしの得意分野なの」
「(“斬魄刀の心を読む”だと?そんなの不可能だ。俺でさえ、こいつの行動は読めねえのに。……どうせハッタリだ。)」
「(…と思ってるわね。残念ながらハッタリじゃないわ。あたしには訣る、“心”に干渉することが…唯一の勝利への近道だと。)」
“だから風死の心を読む”
檜佐木は手首を器用に使い、回転したままの鎌の刃を勢いよく振りかざした。ブンッという音と共に向かって来る“それ”を、詩調はじっと見つめている。まるで風死の“心”に干渉しているかのように…。
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