第14章 零番隊vs護廷十三隊
「てめえこそあの男に騙されてるってまだ気づかねえのか。いつまであのクズ野郎に夢見てんだ。暴力で人を支配するなんて…正気じゃねえだろ」
「隊長を侮辱すんじゃないわよ。あんた達こそ言葉の暴力がどれほど人を傷付けるのか思い知るといいわ」
「一色、お前…可哀想な奴だな」
「…何ですって?」
「あいつは死を以って罪を償うべきだ。自分の欲を満たす為だけに桃香を襲い、あいつの人生を奪った。お前だって本当は心の中で桃香の事、助けてやりたいと思ってんだろ?」
同情するかのような慈悲深い眼を向けられ、詩調は思いきり顔をしかめ、気色悪そうに檜佐木を見た。
「あんた何言ってんの?」
檜佐木の言葉をバッサリと切り捨てる。
「あんな女、助ける価値ないでしょ。あたしに同情求めないで、気持ち悪い」
「!」
「ホント…吐き気がする」
拒絶した詩調に目を見開いた檜佐木だが、顔を伏せ、腕を横に真っ直ぐ伸ばして、刀を構えた。
「どうやら…てめえもあの野郎と同類みてぇだな」
「隊長と同類なんて嬉しい限りよ」
「…今からてめえを、殺す。」
檜佐木はゆっくり瞼を閉じ、そして、静かに目を開く。
「刈れ『風死』」
始解された斬魄刀は鎖付きの一本の鎌へと変化した。その斬魄刀の名に聞き覚えがある詩調は檜佐木の風死を見ながら言う。
「へぇ…“風死”って言うの、あんたの斬魄刀」
「それがどうした」
「別に。どっかの誰かさんと似たような名前だと思っただけ。それと…一ついいかしら」
「戦いの最中に質問とは随分余裕だな。まぁいい、聞いてやるよ」
「あんたの頬に刻まれてる“69”って数字の刺青…もしかして“あの人”の真似事でもしてるの?」
「!?」
「顔色が変わった」
檜佐木は驚いたが、すぐに怒りに満ちた表情で詩調を睨みつける。
「何でてめえがあの人を知ってる!?」
「そんなの答える必要ないわ」
「答えろ!!」
「あーもーうっさいわね。“答える必要ない”って言った筈よ。あたしからの質問は終わり」
うんざりする顔で詩調は一方的に話を終わらせた。
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