第14章 零番隊vs護廷十三隊
「女だからって手加減してもらえるとか思ってんじゃねえぞ」
「手なんか抜いたらぶっ殺すわよ」
「相変わらず気の強え女だ」
隊士達は檜佐木に声援を送る。その声すら詩調には煩わしく思えた。
「始め!!」
山本の合図と共に二人は同時に鞘から刀を引き抜く。そして檜佐木が先に勝負を仕掛ける。
「(先手必勝…!!)」
瞬歩で消えると詩調の前に姿を現し、両手で握った刀を真っ直ぐ振り下ろした。
ガキィン!!
しかし、詩調はいとも簡単に檜佐木の攻撃を自身の刀を縦に構えて防いだ。
「へぇ…やるじゃねえか」
ガチガチと刀身同士がぶつかり合い、鋭い音を立て、二人は睨み合う。
「実力は確かみてえだな」
「あんたは“この程度の実力”で副隊長に選ばれたの?」
「…何だと?」
「だとしたら推薦した奴は見る目がないわね。力だけで勝てると思ったら大間違いよ」
「てめえ……」
「女のあたしでも止められたわ。だからあんたの実力はその程度って事よ」
憎しみの宿る瞳で、詩調は檜佐木の刀を弾き飛ばす。
「なっ……!」
どこにそんな力があるのか、檜佐木の身体は簡単に吹き飛ぶ。驚く檜佐木に詩調は冷たい声で言う。
「もっと本気で来なさいよ。まさか…それが全力だなんて…言わないでしょうね?」
「!」
「あたしを幻滅させないで。あんたにはあたしがキツいお灸を据えてやるわ」
「……………」
「それと始解しないんじゃあたしに勝つのは無理よ。ま、始解したところで勝ち目はないけど」
「勝ち目はねえだと…?」
侮蔑の言葉に檜佐木はギリッと歯を噛み締め、眉間に皺を寄せて詩調を睨む。
まるで
自分が勝つに決まってるのだから
本気で勝負する必要はない
そういう言い方にも捉えられ、それが更に檜佐木の怒りを煽った。
「ナメやがって!!」
「騎士(ナイト)気取りもいい加減にしたら?」
「どういう意味だ」
「あんた達はあの女に騙されてんのよ。見えない糸で操られて思うがままに生かされてる。そろそろあの女を庇うのやめたら?」
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