第14章 零番隊vs護廷十三隊
その様子を楽しげに傍観している流歌を見た雅が不思議そうに尋ねる。
「随分と楽しそうに見てるね」
「面白いモノを前にして無表情でいられるか?」
「“面白いモノ”…仲間割れをしてる隊士達のこと言ってる?」
「まんまと霙の術中にハマった姿は滑稽だな。あれだけ挑発した挙句、ピンチになると一気に冷静を失う。いやはや、見ていて飽きないよ」
「(表情が生き生きしてる…)」
「一度冷静を欠けば、正確な判断を下すのに時間がかかる。仮に正確な判断を下せたとしてもその判断が正しいとは限らない。今の彼らは一瞬で殺せる」
「……………」
「クク…無様に恥を晒すのは果たしてどちらなんだろうな?」
「(笑い方が悪役っぽいなー)」
そして冷静を失い、パニックに陥ってる隊士達が取った行動とは…。
「馬鹿か!!何で隅に逃げ込むんだよ!!」
「知らねーよ!!なんか自然と角に追い込まれてたんだよ!!」
「どうすんだよ!!逃げ場ねーよ!!」
「俺はてめえに着いて来たんだよ!!」
「オレのせいにするつもりか!?」
「あーあ…仲間割れなんて醜いねぇ」
「「「!!」」」
揉めている隊士達の前に霙は現れる。
「言ったでしょ?貴方達の行動は読んでたって。ほーんと馬鹿で助かるよぉ〜」
「あぁ!?」
「じゃあ桜姫、終わろっか」
始解を解いた霙の手には刀が握られている。これから起こる結末に隊士達は身を震わせた。
「ま、待て!!」
「今更命乞い?」
カチャッと音を立てて構える。
「犬のポーズして舌を出したままワンって三回鳴いたら許してあげる♪」
それは隊士達への侮辱の言葉だった。結界の外からもブーイングが飛び交う。だが霙は気にする様子もなく、冷たい眼を向けたまま、笑みを浮かべている。
「ほぉーら!ワン!だよ〜。ちゃあーんと犬のポーズして鳴いてみてよー」
「誰が…ッ」
「出来ないなら仕方ないねー」
残酷な笑みを浮かべた霙は一気に刀を振りかざした。それと同時に凄まじい剣圧が起こる。
「「「ぐあああーっ!!」」」
その圧を直に受けた隊士達の身体は容赦なく吹き飛び、宙に投げ出される。
.