第14章 零番隊vs護廷十三隊
「早く霙をやっつけてよー」
霙は次第に退屈さを感じ始める。
「手加減してあげてるのに攻撃の一つも当たらないなんて有り得なーい。あーあ、霙つまんないなー」
「はぁはぁ…くそ…ッ」
「はぁ…すばしっこくて当たらねえ!」
「ふざけんな…あんな餓鬼に敗けるなんて冗談じゃねえ!」
「仕掛けるチャンスを与えても全部無駄にする。言わせてもらうけど…本当に死神の才能ないんじゃないの?」
憐れみの目を向けられ、隊士達はピキッと米神に青筋を浮かべる。
「そういうお前こそオレ達の攻撃を躱し続けてるが…本当は怖いんじゃないのか?」
「はぁ…?」
「だから逃げてんだろ?」
「てめえの方が負け犬なんじゃねーか?」
「……………」
「やられるのが怖いからそうやってずっと逃げ回ってんだろ!?なぁ鬼灯!!」
「…ふーん。」
今度は隊士達が霙を挑発し出す。馬鹿にした笑いで貶せば、霙の眼がス…ッと氷のように冷たさで染まる。
「それとも敗けるのが怖いから攻撃しないのか?随分と臆病だなオイ!」
「最強戦闘部隊とか言われる割に小心者がいたもんだな!」
「あーあ、零番隊も大したことねーな」
「…うるさい」
「声が小せえよ」
「怖気付いたかー?w」
「零番隊は最強なの。霙達は強いの。貴方達が数万人の束で掛かって来ようと零番隊は無敵なの。みんながいるから絶対に敗けない。霙達の存在を…絆を否定しないで」
今までの笑みを消し、冷たい眼だけを隊士達に向け、苛立ちを含む声で言う。
そして興味を失ったように隊士達から視線を背け、刀を握り直す。
「貴方達の相手をするのも退屈だから遊ぶのやーめた。それに時間も余りないし…」
祈るようなポーズで刀を額に当て、そっと目を閉じる。
「…霙に力を貸して」
息をゆっくり吐き、目を開ける。
そして…百年ぶりに斬魄刀の真名を呼ぶ。
「───舞い上がれ『桜姫』。」
解号を唱えた瞬間、淡い色の桜の花弁が天井から降ってきた。それは雪のようにひらひらと舞い踊るように降り注ぎ、零番隊と桜姫を知る者以外は不思議そうな顔を揃える。
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