第14章 零番隊vs護廷十三隊
「……桜?」
「何で天井から?」
「触れない…幻覚!?」
「どうなってんだ…?」
美しく舞い散る桜は触れようとすると手をすり抜け、消える。
「相変わらず桜姫の魅せる“挨拶”は綺麗だな」
「触れられないのが残念だわ」
「きっと嬉しいんだよ、桜姫も」
「霙チャンも嬉しそうっス」
「どうだいリキュール。桜姫の挨拶は美しいだろう?これは『桜』という花だ」
見たこともない“それ”にリキュールはキラキラと目を輝かせる。
「あ。消えてしまったわ…」
「せっかく綺麗だったのにな…」
桜の花弁が全て消えた。
それは───『戦闘開始の合図』。
「さあ、始まるぞ。霙と桜姫、二人の息の合った連携プレーが」
始解をした霙の両手には二つの拳銃がある。彼女の髪と同じ淡い桜色をしており、桜の紋章が刻印されている。
「この感じ…うん…桜姫だ…」
嬉しげに笑い、目を涙で潤ませた。
「また一緒に戦おうね」
“さあ 零に勝利を──!!”
カチャ…と音を立て、片方の銃を隊士達に突きつける。
「「「!!」」」
標準を合わせ、“獲物”に狙いを定める霙は真っ直ぐな瞳で隊士達を見据える。隊士達は狼狽えた。この少女は一体誰なのか、と。自分達の知る少女とは大きく雰囲気がかけ離れていた。
今彼女は、にこりともせず、無に近い表情でこちらを見通し、“仲間の為に勝つ”という使命感を背負ったまま、強い意志を宿した瞳で銃を向けている。
その指先は、引き金に添えられたまま…。
「お、おい…鬼灯ってあんなんだったか?」
「雰囲気が変わった…よな?」
「知るかよ」
「なんか…やべぇ気がする」
雰囲気が変わった霙に隊士達は戸惑いを浮かべ、一歩後ろに後ずさる。
「降参するなら今だよ」
「降参だと…?」
「負け犬らしく尻尾巻いて逃げるなら怪我せずに済むけど…どうする?」
「それはてめえだろ?」
「敗けるのが怖いなら早く降参しろよ」
「怪我したくねーだろ?」
「そっか…じゃあもういいや。」
冷めたように素っ気なく言う。
「とっととくたばれ…負け犬共。」
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