第14章 零番隊vs護廷十三隊
「簡単に弾き飛ばしやがった…」
「あの細腕のどこにあんな力が!?」
「しかも俺らに集中してたのに、背後の奴にも警戒してたな…」
想像以上の強さに隊士達は驚きを隠せず、霙の力に手も足も出ない状態だった。
それからというもの、何度か隙を見つけては攻撃を仕掛けるが、笑顔を浮かべる霙に軽々と躱されてしまう。
「ほらほら負け犬さん達〜、瞬殺で終わらすんじゃないのー?貴方達の方が強かったって…早く後悔させてよ」
ニヤリと笑み、小馬鹿にする双眸を向ける霙に隊士達の怒りは増すばかりだ。
「クソッ…!」
「あんなに動き回って息一つ乱してないなんて…」
「しかも刀が当たらねえ…っ」
まるで猫のような俊敏な動きで隊士達を翻弄し、瞬歩で消えては目の前に現れ、悪戯っ子のように笑みを溢す。
「亀さん亀さんこっちにおいで〜。そんな鈍間じゃ兎には追いつけませんよ〜なんてね☆」
挑発する霙に苛立ちを募らせ、隊士達は鋭い眼光で睨みつける。
「ふざけやがって…!」
「人をおちょくるのも大概にしろ!」
霙を止めるのに全力を出す隊士達の額には既に汗が流れ、呼吸も乱れている。逆に汗一つかいておらず、呼吸も乱れていない霙はにこやかに笑んでいるものの、肝心の目は笑っていない。
それを結界の外から傍観している流歌は目を閉じ、ふっと小さく笑みを溢した。
「今日の霙はハイテンションだな」
「いつもだろ」
「いやいや、よぉく観察すると分かる。今日の彼女はいつもより上機嫌だ」
「斬魄刀が戻って舞い上がってるのよ」
「嬉しさオーラが半端なく滲み出てるっス」
「でも何で兎と亀の歌なんだろ?」
「そこツッコんだら終わりだろ」
「だが遊び過ぎるのは良くない。こっちには制限時間がある。あの様子じゃ忘れてるだろうな」
「霙なら大丈夫よ。すぐに終わらせるわ。その証拠に…ほら。」
「!」
「“早く始解したい”って顔してる」
「完全に楽しんじゃってるっスね」
「戦いを愉しまないでどうする。命を懸け合うからこそ面白いんじゃないか」
「お前な…」
「そんなの梨央チャンぐらいっスよ」
「そこも隊長の悪い癖だわ」
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