第14章 零番隊vs護廷十三隊
流歌の腕の中に抱かれたリキュールは表情こそ変わらないが、不安そうな瞳で霙を見ている。
「彼女が心配かい?」
リキュールは小さく頷く。
「安心したまえ」
その声は力強い。
「彼女は強いよ」
にこりと笑み、霙に視線を移す。
「見てろよリキュール。
今から彼女が勝利を掴むぞ」
ニヤリと自信満々に答える流歌を見て、リキュールも霙に視線を向けた。
「それでは第一試合を開始する。十番隊隊士達、零番隊第六席・鬼灯霙。両者前へ」
指名された隊士達と霙は無言で互いを睨み合う。そして隊士達は嘲笑うかのように霙を馬鹿にし始める。
「まさかお前が零番隊とはな」
「どんな手を使って入隊試験に合格したのか知らねーけど、俺達はお前が最強だなんて認めねーぞ」
「てめぇみてーなお子様が強いワケねーもんなw」
「この勝負、オレらの勝ち決定だな!」
「貴方達こそどんな卑怯な手を使って死神の入隊試験に合格したのか知らないけど、見るからに弱そうだし、実力なんて大したことなさそぉ〜」
口許に掌を翳し、あはっ♪と馬鹿にする顔で笑う。霙のその無邪気に近い笑顔は、時々ではあるが、鋭い言葉と共に表われる。
「なんだと…?」
「オレ達は正真正銘実力で合格したんだよ」
「信じられな〜い。馬鹿が試験に受かったのもまぐれでしょー」
「あぁ!?」
「馬鹿はてめえだろうが!」
「霙天才だから何言ってるか分かんなーい。低脳な会話は理解出来ないんだよねー」
「(挑発しまくるなー。)」
流歌はクスリと笑う。
「マジでムカつくな…」
「まぁ待て。数ではこっちが有利なんだ。アイツ一人じゃ勝てねーよ。ここは束になって攻撃を仕掛けるぞ」
「束になって掛かって来てもムダムダ〜。いくら数が多くて有利だからって、その考えは甘いと思うよー?」
「うるせえな!黙ってろ!」
「勝つ方法を考えても本当にムダだよ」
「あ?」
「だって霙が…コテンパンにやっつけるから☆」
「…その言葉、後悔させてやるよ」
「後悔させてみてよ。」
笑顔を瞬時に消した霙が冷たく言う。
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