第14章 零番隊vs護廷十三隊
大広間から鍛錬場に場所を移し、万が一の危険性を防ぐ為に流歌と山本は頑丈な結界を何重にも重ねて張り巡らせる。
「一番手は霙だよーん☆」
「最初からやる気満々っスね」
「うん!“殺る気満々”!」
両脇を締め、ぐっと拳を握った霙が笑顔で毒を吐く。それを聞いた琉生が冷静に言う。
「殺っちゃ駄目っス」
「えー…じゃあ首と胴を斬り落とすのは?」
「それもう殺っちゃってるっス。」
「ぶー!るーたんのケチー!」
「でも…病院送りくらいは良いスかね」
ニヤリと笑った琉生に霙も二ヒヒッと悪戯っ子のような笑顔を返す。
「始まる前に渡す物がある」
歩み寄る流歌の腕には、6本の刀が抱えられている。
それは百年前、解散と同時に奪われてしまった、かつての斬魄刀だった。
「返すよ、キミ達に」
にこりと笑み、みんなに手渡す。
「斬魄刀…!」
「これで思う存分戦えるだろ」
刀を手にしたみんなが笑みを浮かべる。
「やっと…帰ってきた」
目に涙を浮かべ、霙はギュッと刀を握りしめた。
「懐かしい感じっスね」
「浅打とは大違いだわ」
「あの日を最後に手放した斬魄刀が…こうして今僕らの手元にある」
刀を手にした流歌も、懐かしそうに目を細めるが、眉を下げ、申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「(…迷惑をかけた。)」
みんなは浅打を床に落とすように捨て、腰に刀を差した。
「さて…始めようか」
「頑張れ霙チャン!」
「おうよ!」
「キツいお灸を据えてやって」
「任されよ!」
「遠慮はいらねーからな」
「もっちろーん!」
ダブルピースをしながらニィッと歯を見せて笑顔を浮かべる。
「絶対勝つから見ててね!リキュール!」
足元にいるリキュールはビシッと敬礼した。
「相手は決まってるの?」
「うん」
笑顔を消した霙は隊士達を見る。
「霙を痛めつけた奴ら全員だよ。キツーイお灸を据えてやらなきゃね☆」
パチンとウインクするが
肝心の目は笑っていなかった。
「リキュールは応援だ」
ひょいっと足元にいたリキュールを抱き上げる。
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