第13章 特別隊首会
「俺がこいつを消させねえ。世界中を敵に回しても俺はこいつを守る為に戦う。それと…覚えとけ」
蒼生は恐怖で固まっている隊士達に向け、冷たい眼で言う。
「こいつを泣かせて傷つける奴は誰だろうと許さねえ。その時は俺が殺す。どんな手を使ってでも…この世から葬り去ってやる」
ポタポタと血が床に斑らを作る。雅は持ち歩いている包帯を出して蒼生の手に巻きつける。
「蒼生…」
「悪い。止まらなかった…」
「壁を殴ったのには驚いたよ」
「無意識だったんだよ。さすがにあそこまで侮辱されたら…黙ってらんねーだろ、兄貴としては」
「僕らの分まで怒ってくれてありがとう」
「……………」
「君が言ってくれてスッキリしたよ」
「おう……」
「あ、蒼ちゃん…手が…」
「平気だから気にすんな」
「高峰、あたしが言える立場じゃないけど…キレすぎだわ」
「ふっ、本当にお前だけには言われたくねーな」
「蒼生クン、カッコよかったっスよ」
「褒めても何も出ねーよ」
包帯を巻き終えた蒼生は流歌を見る。
「やっぱり、私のこと好きだね」
「…ばぁーか。ほっとけ」
「さすが自慢のお兄ちゃん」
「お兄ちゃん言うな」
「嬉しかったよ」
「短気なのも問題だな」
「母親譲りだから仕方ない」
「否定はしねえ」
二人は小さく笑い合う。
「一色さん、堪えてくれてありがとう」
「あんたの為じゃないわよ」
「うん。ありがとう」
「でもスッキリしたわ。高峰があそこまで怒ってくれて。じゃなきゃあたしが…」
詩調の瞳に殺意が込もる。
「このままじゃ解決するどころか話し合いも進みませんね」
流歌は呆れ混じりの溜息を吐く。
「なので僕はあなた達の意見を尊重したいと思います」
「尊重だと?」
「今から零番隊と十三隊の皆さんで勝負するんです」
その提案に大広間が騒ついた。
「零番隊が一人でも敗ければ、僕は大人しく処刑されましょう。もちろん零番隊の復活も白紙に戻します」
「何だと…?」
「ついでに冴島四席にも土下座して謝りましょう」
「「!!」」
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