第13章 特別隊首会
「それでは席官を紹介する」
零番隊の存在に隊士達の表情が期待に満ちる。彼らの登場を今か今かと心待ちにしていた。
「では初めに…六席!」
山本の言葉を合図に瞬歩で現れる人物。
「やっほー!零番隊第六席の鬼灯霙だよーん!」
翡翠の瞳に淡い桃色の髪をツインテールにして黄色のリボンで結んだ霙だった。
「前配属先は四番隊でした☆」
元気印の象徴でもある霙の登場に、期待に満ちていた隊士達の表情が一瞬で消えた。
「そしてこの子はリキュールだよ〜vV」
腕の中にいるリキュールはビシッと敬礼のポーズをする。
「よろしくね♪」
人差し指と中指を立て、ピースサインを作ると、霙はそれを横にして目元に当てた。
「はー!?鬼灯が零番隊!?」
「何かの間違いだろ!?」
「あんな頭悪そうなお子様が!?」
「嘘だろ!?」
「しかも何だあの人形!!う、動いてる!?」
「まるで生きてるみたい…」
期待とは一変し、酷く驚いた顔を揃える隊士達。“ざまあみろ”とでも言いたげな表情で笑い、隊士達を見下ろす霙は卯ノ花の姿を見つけた。
「れっちゃーん!やっと零番隊に戻れたよー!今までありがとー!」
感謝の気持ちを叫ぶ霙は大きく手を振る。それに応えるかのように卯ノ花も穏やかに笑んで手を振り返す。
「続いて五席!」
霙の次に現れたのは不機嫌そうな少女。薔薇のような赤い髪と星のような金の瞳を持つ。そんな彼女は“尸魂界一の人嫌い”として有名である。
「零番隊第五席、一色詩調よ。
前配属先は五番隊。以上。」
顔を背けながら冷たく言い放つ詩調は早々に自己紹介を済ませると霙の横に並ぶ。
「一色が零番隊!!」
「マジかよー!!」
美人だ綺麗だと騒ぎ立てる男達にイライラが止まらない詩調。
「オレ前に話しかけたらガン無視された」
「挨拶したらゴミを見る眼で蔑まれた」
「あんな女と付き合いてー!」
「一色ー!俺と付き合ってくれー!」
「結婚してくれー!」
「デートしようぜー!」
「彼女になってくれー!」
ブチッ。
糸が切れるような音が聞こえたのは気のせいではない。
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