第13章 特別隊首会
時刻が予定の時間を差した時、山本は持っていた杖を床に打ち付けた。
「準備が整ったようじゃの」
山本の一声で先程まで騒がしかった大広間が一瞬にして静まり返る。
「これより特別隊首会を執り行う。今日皆を集めたのは“ある部隊”を紹介する為じゃ」
そう告げた山本の言葉を聞き、流歌の公開処刑じゃないと知るや否や、愕然とした隊士達は山本を前にして再び騒ぎ立てる。
「ある部隊?」
「そんなの聞いてないわ」
「なんだよ…神崎の処刑じゃねーのかよ」
「つまんねーな」
「せっかく楽しみにしてたのによー!」
「静かにせんか!!」
怒気を含む山本の声に隊士達は黙り込む。
「ある部隊とは王族特務を称される零番隊の事。最強戦闘部隊であり、個々が並外れた力を持っておる。それ故に六席までしか在籍を許されず、その力は総隊長の儂でも敵わん」
ザワッ
「え…総隊長より強いの!?」
「やべー奴らじゃん!」
「最強戦闘部隊ってそんなに凄いんだな!」
「じゃあ十一番隊よりも強いの?」
「つーか王族特務って何?」
カツンッ!!
静めさせる為、杖を強く床に叩きつけた。先ほどよりも強めに打ち突かれた音に隊士達はビクリと肩を跳ねさせ、今度こそ黙る。
「数年前、訳あって解散を余儀なくされたが、今日この日を以って零番隊を復活させる───!!」
隊士達は様々な反応を見せた。零番隊を知る者は喜び、中には祝福しない者。そして知らぬ者は首を傾げる。
「入隊試験は極めて難関。それに合格できた者のみが零を背負う資格を得る。霊王を護り、静霊廷を守護する事。それが零番隊の使命じゃ」
「零番隊ってそんなに凄いのね!」
「最強じゃん!」
「そんな奴らがいるなんて知らなかったぜ!どんな奴らなんだろうな!桃香ちゃん!」
「え!?そ、そうだね!」
突然話を振られ、桃香は驚く。
「(何よ…全然あいつの処刑じゃないじゃない!!零番隊なんてどうだっていいのよ!!あたしはあの男を地獄に落とすのよ!?それが今日だったはずなのに…予想外だわ!!)」
苛立ちで顔を歪め、桃香はギリッと歯を噛み締めた。
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