第13章 特別隊首会
【一番隊舎】
山本を含めた全隊士が大広間に集まっていた。前方に隊長格、後方に平隊士達で分かれている。
「今日はあの子達の晴れ舞台だね」
「零が復活する日を楽しみにしてたからな」
「みんな喜んでるさ」
「百年もあいつと離れ離れになったんだ…喜ばないハズがないだろう」
「…あれから百年、か」
「あぁ…」
二人は声を沈ませる。
「永かったねぇ…。随分と月日を巡ったもんだ。暗い場所でただ一人、光のある場所に出られることを望んだ彼女も。そして彼女の帰りを待つあの子達も」
「そうだな…」
「でも彼女は変わらない。昔と変わらず…仲間思いの優しい子だ」
「あぁ」
「何より…高峰君に会えて嬉しかっただろうね。あの二人は…お互いを大切に思っているから」
「そうだな。本当に良かった」
「…彼女はどんな気持ちで今日を迎えたんだろうね」
浮竹と京楽は悲しい顔を浮かべた。
「やっと本当の貴女様にお会いできるのですね。この砕蜂、今日という日をどれほど待ち望んでいたか…」
偽りの姿では無く、零番隊として復活を遂げた彼女に会えることを心の底から喜んでいる砕蜂は胸が逸るのを抑えきれない様子だ。
「あの小娘が零に戻ろうが私には関係ないヨ。何故こんな茶番に付き合わなければならないのかネ」
「そう言わずに祝福して差し上げてください」
「祝福?冗談じゃないヨ。出来損ないのモルモットの遊戯に付き合うほど暇じゃない」
「モルモット…ですか」
「それ以外に何があるのかネ?」
涅は梨央に対して侮蔑の眼差しを向ける。
「あの小娘は実に優秀だ。実験台に選んで正解だったヨ。他のモルモット達よりも扱い易くて助かっている。まぁ…自分勝手な行動が多過ぎるから時々役に立たんがネ」
「……………」
「だがあの小娘が死んだ時ぐらいは、素直に祝福してやっても構わない」
蔑むような眼と馬鹿にした笑い。
「『化け物』と恐れられるあの小娘の身体を解剖できる日を楽しみにしているヨ」
涅はニヤリと笑んだ。
「(この方と梨央さんの相性の悪さも…昔から変わらないですね。)」
卯ノ花は肩を竦めて呆れ混じりの溜息を零した。
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