第13章 特別隊首会
「何モタモタしてんのよ。早く手を取ってアタシに“謝りなさい”!」
「…そんな眼を向けておいて嘘はいけませんね」
「そんな眼?」
「貴女は僕を許そうなんて思っていない。その手を取って操り人形として僕が落ちるのを見たいんでしょう?」
「!」
「憐れみの中に宿る“侮蔑”と“嘲笑”。救うフリをして本当は僕が地獄に堕ちる瞬間が楽しみで楽しみで仕方ない…という眼をしている」
「あら、よく分かってるじゃない」
「それと誤解されているようなので一応忠告しておきます」
「?」
「僕がいつ許してほしいと言いましたか。そもそも貴女に謝らなければいけない事をした覚えは何もありません。勝手に僕を悪者にしないでくれます?」
「何ですって!?」
「その汚れた手も引っ込めてください」
「アンタ…!」
「“許して欲しければ手を取れ”。随分とまぁ上から目線ですね。これだからゴミ虫は賤しくて嫌いなんですよ」
「ゴ、ゴミ虫…アンタまた…ゴミ虫って言ったわね!!」
「ゴミ虫でも鳴くのは煩わしいですねぇ。貴女はゴミ虫らしく地べたを這って惨めに生きれてばいいんですよ」
蔑む眼で笑えば、桃香は怒りで身体を震わせる。
「このアタシが!許してやるって言ってんのよ!身の程知らずのアンタを!それなのにごちゃごちゃと…うるさいわね!!」
「貴女の操り人形になるのは御免です。残念でしたね、貴女の思い通りにならなくて」
「っ〜〜〜〜!!」
「この世の全てを操れると思ったら大間違いですよ。貴女が操ってる糸はすぐに切れます。そしたら…貴女の未来はどうなるんでしょうねぇ?」
「っ、アンタなんてお兄様に頼んで消してやる!!」
結局は兄頼りか
本当に愚かな女だ
そんなことしても
全て無駄だと言うのに
「今日の隊首会が愉しみですよ」
「それはアンタの処刑がって事かしら」
「いいえ」
冷たい瞳で薄っすらと笑みを浮かべる。
「“罪人には罰を”。今日の隊首会で貴女の全てを認めさせます」
「笑えない冗談ね」
「貴女が侵した全ての罪を暴きますよ」
「好きにしなさい。アタシは逃げも隠れもしない。言っておくけどアタシを罰することは不可能よ」
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