第13章 特別隊首会
どんなに心を折ろうとしても、何故だか今日の琉生には全くダメージがない。どうやら本当に鋼のメンタルを手に入れたようだ。最強と言われた三人の“総攻撃”にも笑顔で切り抜けた。
「三人の顔が凄いことになってる」
「おい御影その辺にしとけ。お前今にも刺されそうな勢いだぞ」
「残念だったっスね、三人共♪」
「「「(しばき倒したい…。)」」」
“それかいっそ殴りたい”と気分が高揚してニコニコと笑う琉生に三人は苛立った。
「そろそろ移動しようか」
「むー!るーたんがヘコまないよー!みっくん!」
霙が半泣きで悔しそうに雅に駆け寄った。ぷくーっと頬を膨らませる霙を雅が宥める。
「いつまで遊んでんだ」
「遊んでないよ!蒼ちゃんのぶぁーか!」
「俺に八つ当たりすんじゃねーよ」
雅に縋りつきながら蒼生に当たる霙。蒼生は首に手をやりながら呆れ混じりの溜息を吐いた。
「まだ始まるまで時間あるよね?」
「うん」
「散歩して来てもいいかな」
「時間までに戻れ」
「もちろん」
「約束だからな」
「お兄ちゃんは妹を信用してよー」
「お兄ちゃん言うな」
「前科あるっスからね」
「だから言ってんだよ。厳しく言わないとコイツぜってー遅刻して来んだろ」
「否定はしないっス」
「二人とも酷いな〜」
「遅刻厳禁。わかったか?」
「今日に限って遅刻はしないよ」
「遅刻常習犯に言われてもね〜」
「雅タスケテ」
「もーみんな雅クンに頼り過ぎっスよ!」
「そーゆーお前もだろうが」
「雅クンはオレの味方っスもん!」
「みっくんは霙の味方ー!!」
むーっと頬を膨らませ、腕を絡ませた霙は雅に引っ付く。
「僕はみんなに平等だよ。蒼生、梨央も約束は守るって言ってるんだし、信用しても大丈夫だと思うよ」
「さっすが雅!誰かさんと違って話通じる♪」
「そりゃ誰のことだオイ?」
「知らなーい」
「ほら兄妹喧嘩はその辺にして。僕らは先に一番隊舎に行ってよう」
「はーい!」
霙は雅の手を引っ張って歩き出す。みんなと別れた流歌は零番隊舎を出た。
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