第12章 零番隊復活
「良かった」
「男装してる事、あたし以外に知ってる人はいるの?」
「ええ、たくさんいます」
指を折って数を数える。
「総隊長、砕蜂隊長、市丸隊長、卯ノ花隊長。藍染隊長、朽木隊長、京楽隊長、更木隊長。涅隊長、浮竹隊長。それと鬼灯十三席、一色十二席、御影十四席、流祇流十三席、高峰十二席です」
「そんなに!?というか総隊長も知ってるの?」
「はい」
“まぁほぼ、百年前からの知り合いだけどな”と心の中で呟く。
「一つ教えて」
「答えられる範囲であれば」
「あんたの本当の名前は?」
「梨央です。仁科梨央。それが“私”の名前です」
「そう…素敵な名前ね」
「ありがとうございます」
名前を褒められ、嬉しげに笑う。
「梨央」
「!」
「あたしはあんたの味方よ。
それだけは信じてちょうだい」
「もちろんです」
頷いた流歌は日番谷が差し入れてくれた甘納豆を指で摘み、口に含んだ。
「美味しい。甘納豆、初めて食べました。
こんなに美味な味わいだとは…」
「嬉しそうね」
「そりゃ甘いものが好きなので」
もう一粒口に放り込む。
「そうじゃなくて。隊長からの差し入れだから嬉しそうねって言ったのよ」
「むぐっ!?」
意地悪そうな乱菊の言葉に口に入れた甘納豆を吹き出しそうになった。
「な、何言って…」
「あら?違ったの?」
「僕は甘党だから隊長の差し入れが嬉しかっただけです!」
「“隊長からの差し入れだから”甘納豆が美味しく感じたんでしょ?」
「そんなこと思ってません!」
「ムキにならなくてもいいじゃない」
「乱菊さんがおかしなこと言うから…!」
「何もおかしなこと言ってないわよ?あたしは思ったことを言っただけ」
「っ〜〜〜!」
「気になるなら正直に言えばいいのに」
「なっ……!」
「分かり易いわね」
「き、気になってなんかいません!」
「本当に?」
「本当です」
「あたしに誓える?」
「え、」
「日番谷隊長のことは気になってないって、ちゃんとあたしの目を見て言える?」
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