第12章 零番隊復活
「気にならない…です」
「あたしの目を見ないから嘘ね」
「乱菊さんズルい…!」
「だって素直じゃないんだもの」
半泣きで言えば、乱菊は小さく笑い、もう一度だけ流歌に問うた。
「本当に気にならないのね?」
「!」
「日番谷隊長のこと」
「……………」
顔を俯かせた流歌は、恥ずかしそうに、小さく呟いた。
「…少しだけ…気になります…」
「素直でよろしい」
「(うぅ…乱菊さんの意地悪…)」
「ちなみにあんたが隊長のことを気になり始めたキッカケも知ってるわよ」
「え?」
「実はあの時、影からコッソリあんたと隊長の様子を見守ってたのよねー」
「!?」
「あ、別に覗きじゃないわよ?」
「(気配に気づかなかったなんて…!)」
「二人とも嬉しそうに笑いあってて、なんだかあたしまで嬉しくなっちゃったわ」
「遠くからそこまで見えるんですか!?」
「あたしの視力を甘く見ちゃダメよ」
「……………」
「ふふ」
「何ですか?」
乱菊が突然可笑しそうに笑ったのを見て、流歌は首を傾げる。
「流歌、顔が真っ赤よ?」
「っ!?」
そう言われ、慌てて頬に両手を当てると、確かにそこは少し熱をもっていた。
「恋する少女ね〜」
「からかわないでください…っ!」
紅潮する頬を押さえながら言う。
「お似合いだと思うわ」
「!」
その言葉に流歌の表情が沈む。
「(私は誰かに愛される資格はない。そして…誰かを愛す資格もない…)」
「流歌?」
「(とうの昔に…許されない過ちを侵してしまったから。)」
「どうしたの?」
「日番谷隊長は優しい方ですね」
「本人も初めて言われたと思うわ」
「だから…ダメなんです」
「ダメって…何が?」
「差し出された手を取ってしまえば…僕もあの人もきっと後悔する」
「……………」
「僕と違って彼は正しい道を歩んできた人だから…僕のせいで彼の未来を台無しにするのは嫌なんです」
「どうしてそんなこと言うのよ?」
乱菊が問いかけるが何も答えない。
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