第12章 零番隊復活
にこりと笑むと、乱菊は怪訝に流歌を見つめる。
「僕の顔に何かついてます?」
「そうじゃないの」
「?」
「(“あの質問”をぶつけてみようかしら。)」
不思議そうにこちらを見る流歌に乱菊は以前から気になっている質問をした。
「ねぇ流歌…」
「何でしょうか?」
流歌は笑みを湛えたままだ。
「作り笑いって疲れない?」
「!!」
乱菊に指定され、ピシッと固まる。
「前から気になってたのよ。あんたの笑う顔はどこか違和感を感じる」
不意をつかれた流歌は驚いた表情で乱菊を見ている。
「今あんたがあたしに向けてる“それ”…偽物でしょう?」
「……………」
「どうしてそんな笑顔で笑っ…」
「おかしなこと言いますね」
「!」
「僕はちゃんと笑ってますよ」
にこりと笑んで見せるも乱菊は首を振る。
「嘘をついても無駄よ」
「何故そう思うんです?」
「案外分かるもんよ。女同士はね…」
「え…?」
「不躾に悪いわね」
「今…何て…」
「あんた…女でしょ?」
「理由を尋ねても?」
「最初に違和感を感じたのは執務室であんたを抱きしめた時。男にしては身体が細いなって思ったわ」
「(書類配りの時か…)」
「間違いではないわよね?」
「やはり身体を密着させるのは危険ですね。絶対に見抜かれない自信があったのに。演技で素を出すなんて…迂闊でした」
バレているならもう隠す必要はないと思い、流歌はため息を漏らす。
「男装してる理由は?」
「くだらない理由です」
「?」
「女のまま過ごすより男装した方が面白いと思ったんです。けど…そのせいで厄介な事件に巻き込まれましたが…」
目を見張る乱菊に流歌はニコリと笑む。
「面白いことが好きなんです、“私”。」
流歌の仮面を外して素に戻れば、乱菊は驚いた顔を浮かべた。
「演じてる時とは別人ね」
「バレたら変装してる意味がないですから。幻滅しました?」
「いいえ、するはずないじゃない。むしろあたしは“そっち”の方が好きよ」
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