第12章 零番隊復活
【一番隊舎】
「!隊長、早いのね」
「梨央ちゃんが遅刻しないなんてビックリ〜」
「そう毎回遅刻はしないよ」
先に到着していた梨央を見て二人は驚いたように言う。
「普段もこうなら助かるんだがな」
「つーん。」
「…おい、分かりやすい無視すんな」
「つーん。」
「(この野郎…!)」
頬を膨らませ、プイッと蒼生から顔を背ける梨央。そのあからさまな態度は蒼生をイラッとさせた。
「まぁまぁ二人とも。兄妹喧嘩はその辺にして。総隊長の話を聞こうよ」
「そう言えばオレ達を呼び出した理由って何なんスか?」
「霙達なーんにも悪いことしてないよ?」
「先程まで梨央と話し合っておった」
「?話って…?」
霙が小首を傾げる。山本は真剣な表情を見せ、一同を見渡すと告げた。
「お主達には本当に辛い思いをさせた。零番隊が何処の隊よりも結束が強く、その絆が永遠に結ばれておることも知っておる」
「急にどうしたんスか?」
山本は一度眼を閉じ、ゆっくりと開ける。
「今まで良く我慢したの」
「どーしたの?総隊長」
「時は満ちた」
「「「!」」」
「零番隊を復活させる───!!」
梨央以外の全員が驚いて目を丸くさせる。
「今…何て…?」
突然の報せに戸惑いを隠せない。詩調は山本の言葉を聞き返す。
「零番隊を復活させるんだよ」
「零番隊を…?」
梨央はニコリと笑んだ。
「永いこと、待たせたの」
「本当…?」
まだ信じられない表情を浮かべて霙は言う。
「零番隊が復活って…」
「あぁ」
「嘘じゃない…?」
「全て伝えたい通りじゃよ」
ふっと、霙の眼に涙が浮かぶ。
「ようやく…キミ達との約束を果たせた」
「梨央ちゃん…」
「言ったでしょ。キミ達の帰る場所は必ず守るって」
「うんっ…うんっ!」
ポロポロと涙を流す霙を隣にいた雅が肩に手を置いて嬉しそうに微笑む。
「よく四十六室が許したな」
「そうよ。あの連中はあたし達を邪険にしてるし、目の敵にしているわ」
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