第12章 零番隊復活
チリンー…
自室に籠り、窓枠に腰を下ろしていた詩調は赤い鈴を掲げて鳴らす。その音はどこか悲しそうで、詩調の表情も悲しそうだ。
「…嘘つき」
掌に包むように赤い鈴を握り、それを口元に押し当てる。そんな時、青蝶が舞い込み、詩調は驚きの表情を浮かべた。
「どうして零番隊専用の地獄蝶が!?」
《零番隊第五席、一色詩調に告ぐ。総隊長の命により、至急一番隊執務室に集合せよ。》
「とりあえず行った方が良さそうね」
赤い鈴をしまうと、詩調は瞬歩で一番隊舎へと向かった。
同時刻、静霊廷のとある宿で女性と共に布団で寝ていた琉生は何かの気配で目を覚ます。
「んっ…んん?」
ゆっくりと瞼を開けると、青蝶がドアップで映り込んでいた。
「うわっ!?」
驚いて飛び起きた琉生はバクバクと鳴る心臓を手で押さえる。
「な、何なんスか…」
《零番隊第四席、御影琉生に告ぐ。総隊長の命により、至急一番隊執務室に集合せよ。》
「(緊急招集…?)」
「みかげくん…?」
すると隣で眠っていた女性が目を擦りながら琉生の名前を呼ぶ。
「あ。起こしちゃった?」
「平気よ…それよりどうしたの?」
「仕事っス。すぐに行かなきゃ」
「そう…残念だわ。また遊んでね」
布団から出ると軽くシャワーを浴び、死覇装に着替えた琉生は宿を出て瞬歩で一番隊舎に向かった。
再び同時刻…。
暗く閉ざされた部屋で何もせず、ただ隅っこで両足を抱え、悲しい顔を浮かべる雅。
「…僕は…どうしたら…」
その時、暗闇に紛れて青蝶が舞い込んだ。
「…青蝶?」
《零番隊第三席、流祇流雅に告ぐ。総隊長の命により、至急一番隊執務室に集合せよ。》
「……………」
雅はゆっくりと立ち上がり、静かに部屋を出て行った。
同時刻───。
零番隊の応接室で物思いに更けている蒼生がいる。
「…俺が…必ず守る…」
ギュッと拳を握りしめた蒼生の元に青蝶が舞い込んだ。
「!」
《零番隊副隊長、高嶺蒼生に告ぐ。総隊長の命により、至急一番隊執務室に集合せよ。》
「ジジイからの呼び出しか…」
蒼生は短い溜息を漏らすと、その足で一番隊舎へと向かった。
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