第12章 零番隊復活
「お主がこの先、戦闘でも役に立つのか。生かしておくべき存在なのか。……酷い言葉ですまぬな。お主に“価値”を押し付けてしもうて…」
梨央は笑んだまま、首を振った。
「大丈夫です。あの連中の云う“価値”と総隊長の云う“価値”は全く意味が違います」
「四十六室に意見を述べられることは出来ぬと知っておったのじゃが…つい口を挟んでしもうた」
「……………」
「儂にも火の粉が飛んできた」
「自分達が一番偉いと誤解しているような連中ですからね。見下すのが得意なんですよ」
「梨央よ」
「はい?」
「仲間達と共に未来を歩みたいか?」
「!」
「共に生き、共に剣を取り、共に死ぬまで世界に抗いたいと思うか?」
問いかけられた真意に疑問を浮かべたが、山本の真剣な表情で何を言いたいのかを悟り、梨央も真剣な表情で答えを返す。
「もちろんです」
力強く、ハッキリと告げた。
「うむ…決まりじゃな」
「総隊長…」
「それで十分じゃ。お主の“意見”を聞けた。そろそろお主も寂しかろう…?」
梨央は笑んだまま、何も答えない。だがその両眼には、溢れ落ちそうになる程の涙が浮かんでいる。
「青蝶で彼奴らを呼び出してもらえるかの?」
「っ、はい…!」
涙を浮かべたまま嬉しそうに頷いた梨央は仲間達に青蝶を飛ばした。
その頃、零番隊舎でそれぞれの時間を過ごしていた彼らの元に青蝶が舞い込んだ。
「るんたったー♪るんたったー♪」
研究室で新たな開発に挑戦している霙の元に青蝶が現れる。
「え!?……っあ!?」
緑の液体が入っているフラスコを青い液体が入っているビーカーに注ごうとした時に青蝶が視界に入った為、驚いた霙は手元を狂わせ、必要以上の量をビーカーに注いでしまい、爆発を起こしてしまう。
「ゲホ!ゲホッ!…せっかく上手くいってたのにー!!」
《零番隊第六席、鬼灯霙に告ぐ。総隊長の命により、至急一番隊執務室に集合せよ。》
「珍しい…一体何だろう?」
プスプスと髪の毛が焦げたまま、霙は椅子から立ち上がり白衣を脱ぐ。そして周囲に散乱した器具を適当に片付けた後、瞬歩で一番隊舎に向かった。
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