第11章 太陽の木漏れ日
「約束、守ってくれてありがとね。そして…助けが間に合わず、本当に悪かった…」
どこか辛そうに顔をしかめる梨央に、霙は小さく頭を横に振った。
「…でもちゃんと助けてくれた。梨央ちゃんは霙を…見つけて…救ってくれた」
「!」
「出会った時みたいに」
嬉しそうに笑う霙の言葉に、沈んだ表情を浮かべる梨央は静かに口を開く。
「百年前のあの時と同じで…また救うことが出来ないと思った」
「……………」
「私が間に合わなかったから…彼らの運命は闇に近付き、その生涯を終えてしまった」
悔しそうにギュッと拳を握る。
「そして今も…キミに何かあったら…私はきっと…怒りに囚われ…キミをこんな目に遭わせた奴等を…殺していた」
「隊長…」
「私はもう…目の前で大切なものを奪われていくのは…いやなんだ…」
梨央はふっと悲しげに笑った。
「だから…キミが無事で本当によかった…」
「(どうして…そんな悲しい顔をするんだろう…?霙は…無事なのに…)」
「ここに来るまでとても不安だった」
「!」
「想像したくないが…キミがこの世界からいなくなってしまうと…思うだけで…息が止まって呼吸ができなくなる」
「梨央ちゃん…」
「だから私より先に逝かないでくれ」
「霙は死なないよ」
「…そうか」
「霙が死ぬ時は決まってるの」
「どういうこと…?」
「みんなと一緒がいい」
「!」
「独りぼっちで死ぬのは寂しいから…。だから…死ぬ時は…みんなと一緒がいいの…」
「あたしも…同じよ」
「詩調?」
「独りで死ぬより…隊長の役に立って死にたいわ」
「今からそんな物騒なこと言わないでよ」
困ったように笑えば、二人は真剣な表情を浮かべたままだった。
「でもまだ死んでやらないわよ」
「うん…霙も…まだ死なない」
「私がキミ達を死なせないさ」
「梨央ちゃんも寂しがりだからね…」
「そうだなぁ…」
「でも大丈夫よ。あたし達は…零番隊は…簡単に死んだりしないわ」
「みんな強いもん…」
「そうだね。みんな図太いからな」
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