• テキストサイズ

✱でもきっとハッピーエンド✱【BLEACH】

第10章 大切だから許せない




「上手く咲けばいいな」



サァーッと風の音が吹く。



「難しいかも知れないな。幸福花は幸せの花だ。幸せを捨てた私はこの花を咲かせられない…」



空を見上げ、切なげに笑う。



「神崎?」



後ろから名前を呼ばれ、振り返る。そこには日番谷が立っていて、流歌は表情を険しくさせた。



「(嫌な人に会ったな…)」



日番谷の瞳には相変わらず失望の色が垣間見える。



「こんな所で何してる」



「あなたには関係ありません」



スッと冷たい瞳を向け、その場を立ち去ろうと日番谷の横を通り過ぎる。



「待て」



呼び止められ、足を止めた。



「聞きたいことがある」



こちらを振り向いた日番谷は眉間にしわを寄せたまま、鋭い眼光を放つ。



「華月のことを調べてるようだな」



「!」



「調べてる理由は何だ」



「何故あなたに教えなきゃいけないんです」



「答えろ」



その命令口調に苛立ちを浮かべる。



「隊長は華月さんが護廷を辞めた理由をご存知ですか」



「そいつなら体調不良が原因で辞めた」



「本当に体調不良で辞めたと思いますか」



「何が言いてえ?」



「……………」



「まさか華月の辞めた理由に不信感を持ってんのか?」



何も言わない流歌に、日番谷は呆れるように溜息を吐く。



「お前がどう思おうが、あいつは体調不良が原因で脱退した。今更何の疑問を持つ?」



「僕は彼女が体調不良で辞めたと思っていません」



「!何…?」



「冴島四席が仕組んだ罠にハマったんです」



「!!」



「彼女の取り巻き達による嫌がらせが続き、身体的にも精神的にも限界がきていた。それでも彼女は必死に働いた。卯ノ花隊長の役に立つ為に」



「……………」



「そこを冴島四席に利用され、四十六室に目を付けられた彼女は護廷から追い出された」



「四十六室だと!?」



「戦いに必要ないと判断した者を本人の意思に関係なく、切って捨てる連中なんですよ」



日番谷は驚きを隠せず、言葉を失う。



「奴等が死刑と言えば死刑。死神を裁くのは神でも悪魔でもない。僕達の命運を握っているのは愚かな四十六室なんですよ」


.
/ 900ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp