第10章 『あなたの背中。』木兎光太郎
『いいよ?わかりやすい参考書とか選ぼうか?』
そう聞くと、げーん!とショックを受けた顔。
「ちげーんだって!そーじゃなくてさー!」
違う?何が?
そう、考えていると、不意に呼ばれる私の名前。
木兎くんの顔を見ると、木兎くんは真剣な顔で私を見ている。
「俺、夏乃が好きなの。だから、俺と付き合ってください。」
すき?
誰が?誰を?
…木兎くんが私を?
一気に理解した私の顔は一気に真っ赤になる。
ふひゃっ。と私の口から変な声が漏れ、その場に座り込む。
「夏乃っ⁈」
いきなり座り込んだ私にびっくりして顔を覗き込もうとする木兎くんから、私は両手で顔を覆いながら顔を背ける。
『やっ…』
「返事…ほしーんだけど…」
じっと覗き込むように私を見る木兎くんに根負けし、指の隙間から覗くとお星様みたいなきらきらの瞳と目があう。
「夏乃?は、俺のこと、好き?」
『すき…』