• テキストサイズ

夜の少年達【HQ】

第10章 『あなたの背中。』木兎光太郎




「なあ、椎名…?だっけ?これ、教えてくれねー?」



夏休み初日、自習に来ていた私に木兎くんはそう言った。

『…え?私?』

「そう。」

ちなみに話はほとんどしたことない。

『な…で……私?』

ぽそぽそと小さな小さな声で話す私の声を聞き取った木兎くんは、夏の太陽みたいににかりと笑う。

「だって、頭いーじゃん?お前。」

毎回トップ10にいるじゃん。と言う木兎くん。

『そ…だけど…』

「な?教えてくれねー?この追試合格しねーと合宿いけねーの。」


そう言って見せてきたのは期末テストの問題と解答用紙。
ちらりと見ただけでも丸の数が少ない。

『そう…なんだ。』

「だから頼む!」

がばっと上半身を倒し私に頭をさげる木兎くん。

『わかった!わかったから頭上げて⁈』

わたわたとしながら返事をすれば、体を倒したまま顔だけを上げ、ニカっと笑う。

「じゃあ今から!午後から部活だから!」

『うん。取りあえず、何から?』

「何…がいい?」

全部わかんね。
そう言う木兎くんに、私は1から勉強を教え始めた。


/ 395ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp