第9章 『はちみつ色のキミ。』 木兎光太郎
「よっしゃ!当たり棒!」
『うそっ!』
最後のひとかけらを口に押し込み喉を通すと、木兎の方を見た。
木兎は嬉しそうに私の方に棒を見せびらかす。
『っていうか、元々は私のお金で買ったガリガリ君でしょ?それ頂戴!』
そう言って棒に手を伸ばせばヒョイっとかわされる。
「取ればいーじゃん。」
ニヤリ。
意地悪な顔をして笑う木兎。
『とってやるー!』
意地になった私は、立ち上がって棒を持っている腕の方に回り込んだ。
「げっ!夏乃っ!ずりー!」
木兎も負けじと立ち上がり、ぐーんと手を上に伸ばす。
つま先立ちになり、伸ばした手を下ろそうとワイシャツを引っ張る。