第8章 『素直になれない不器用カノジョ。』 及川徹
『私、勘違いしちゃう…よ?』
及川も私のこと…って。
そういえば及川は自分の胸板に私の顔を押し付ける。
「勘違いって何…俺ずっと夏乃のこと好きだよ?」
『うそ。』
「嘘じゃないって!夏乃のこと好きなんだって!」
『うそだぁ…』
「嘘じゃないよ!….って夏乃?」
どうしよう…
嬉しすぎて涙が止まらない。
「うそっ!夏乃⁈泣くほど及川さん嫌い⁈」
私の体を離し、おろおろしだす及川。
イケメンが台無しだ。
『ちが…』
涙を両手でゴシゴシとこする。
あれ?これ、誤解を解くには私も好きって言わなきゃならない?
それはやだ!
恥ずかしい!
『おいかわっ!』
そう叫ぶと私は及川の腕を引き、バランスを崩す。
近くなった顔の距離。
私は及川の頬に自分の唇をぐいと押し付けた。