第7章 ぽにーてーる☆せったーず。
影山飛雄の場合。
am10:40
ふわり、ふわり。
目の前の長い髪が揺れる。
いつもは下にまとめられている髪の毛。
今日は珍しくポニーテール。
毛先が揺れるたびに見えるうなじがなんとも男心をくすぐる。
『……ま?影山ぁ?』
ハッと気がつくと目の前にはプリントをひらひらさせた夏乃
「おう…悪い…」
そう言ってプリントを受け取れば、少しだけニヤリとした顔で夏乃が話しかけてきた。
『何?寝てた?』
「寝てねぇよボゲェ。」
『じゃあなんでぼーっとしてんの…』
たまにはちゃんと授業聞きなさいよなんて嫌味が飛んでくるから俺はつい、言わなくてもいいことを口に出していた。
「髪の毛…」
『…は?』
「珍しいなって思って…いつも下に結ってるのに。」
ぽかん
とした顔をした夏乃
『今日、ポニーテールの日なの。』
「はぁ?ぽにーてーる?」
『この髪型のことよ。』
馬のしっぽみたいだからって言われてもわかんねぇ。
「いや、この髪型だといつも見えねー首が見えてエロいなーって…」
言った後にパッと顔を上げればそこには顔を真っ赤にした夏乃。
『ばっ…馬鹿言ってないでちゃんと授業聞きなさいよ!』
そう言って前を見た夏乃は後ろから見ても真っ赤で、
顔だけじゃなくて耳も首まで真っ赤な夏乃。
「んまそ…」
真っ赤な姿がまるでスイカみたいで、思わずかぶりつきたくなった。
『かげやまの…ばか…』
そう呟いた声を、俺は聞こえないふりをした。
next→及川