第6章 『初夏の日は落ち行く。』菅原孝支
不意に繋がれた右手。
掴まれた手は私のものとは違ってゴツゴツしていて、男の子の手をしていた。
『な…にいってんの菅原。私は物じゃないよ。』
「夏乃が好きだよ。1年の頃からずっと。」
好き?
菅原が私を?
『私、意地っ張りで面倒だよ?それに女らしくないし、背も高いし、髪の毛短いしおっぱいちっちゃいし…』
「それでも俺は夏乃が好きなの。」
さっきより声が近い。
そう感じた瞬間、私の背中があったかくなる。
「返事…欲しいんだけど…」
ぎゅっと抱きしめられると背中に菅原の鼓動を感じる。
少し早めの拍動。
回された手の震え。
私は緊張でカラカラになった口を開け、言葉を発した。
『菅原…わたし、
私も…好き。』