第6章 『初夏の日は落ち行く。』菅原孝支
ガラリと教室の扉が開くと息を弾ませた菅原が教室に入ってくる。
「ごめ…部で誕生日祝ってくれて…断れなくて…」
『いいのいいの!気にしないで?』
部活ジャージに身を包んだ菅原が私の前にたつとニカリと笑って頭をポンと撫でる。
それだけで私の心は舞い上がる。
わざわざ待っててよかったって思う。
「で、なんだべ。話って。」
不意に菅原から切り出される。
私は鞄から先ほどの袋を出し菅原に差し出した。
『菅原、誕生日おめでと!趣味合うかわかんないけどこれ…』
私の言葉に少し驚いた顔をした菅原。
すぐに嬉しそうに笑う。
「ありがとなー夏乃!むちゃくちゃ大切にする。」
『話はそれだけだから。部活の後なのにごめんね?』
そういうと私は鞄を持ち、教室から出ようと入り口に足を進めた。