第41章 『嫌い、すき。』孤爪研磨 R18
元に戻った生活は楽だった。
研磨と付き合っていた数ヶ月、もしかしたら無理していたのかもしれない。
研磨の家は職場と自宅の中間だから、その駅にわざわざ降りなければ研磨に会う機会もない。
これで良かったんだと思う。
良かったんだと思わないと苦しくなる。
だから早く忘れなきゃとは思うけれど、ひとつだけ後悔がある。研磨の家の鍵を返し忘れたことだ。
あの日に研磨に渡して帰れば良かったのにそうしなかったのは私のミス。だから返しに行かなきゃ。そう思うのに、直接会ってしまえは別れたことを後悔すると思いなかなか返しに行けず、季節が変わってしまった。
顔を合わせずに返す方法を考えたが郵送しかなく、適当なポーチに鍵を入れ、クッション素材の袋に入れると定形外で鍵を送った。
これでやっと終わり。
だと思った。