第41章 『嫌い、すき。』孤爪研磨 R18
付き合って数ヶ月後のお盆を過ぎた頃。
仕事終わりで明日が休みの平日、今から行くとメッセージを送り研磨の家に向かう電車に乗るが、既読はなし。
最近はいつもそう。集中するとそこにしか目がいかない研磨。
この感じだとどうせご飯も食べていないのだろう。
メッセージが来ないかと確認をしながら研磨の家の近くのスーパーで食材を買い家に向かう。
夕方になっても蒸す気温にハンカチで汗を拭きながら、もらった合鍵で家に入ると珍しく研磨の声が聞こえる。
研磨の家に行き始めてから何度か聞いた名前が漏れ聞こえてくるから仕事の打ち合わせらしい。
邪魔にならないようにまっすぐに台所に向かうと、いつものように買ってきた食材で夕食と作り置きを作り始めた。
多めにご飯を炊き、今食べない分のご飯をラップに包んで冷凍。
くつくつと煮える音がする肉じゃが。
その横できんぴらを作り、カボチャの煮物を冷ます。
研磨は料理をするのが面倒だからと自炊をしない。それを見かねてご飯を作った時に美味しいって言われたのもあって行くたびにご飯を作っている。我ながら単純だなと思うけれど中々やめられない。
出来立てのきんぴらを保存容器に移し冷ましながら、だし巻き卵を作っていれば、ぱたぱたと廊下を歩く音。
打ち合わせ終わったのかなと振り返ると同時。台所に入ってきた研磨と目が合えば、どうしているのかと問うように、研磨の首が傾げられる。
「夏乃きてたんだ。」
悪気はないんだと思う。
多分打ち合わせで連絡を取っていたから、スマホの確認を怠っていた。
研磨の中ではただそれだけ。
でもその言葉は
私のこころを傷つけた