第41章 『嫌い、すき。』孤爪研磨 R18
ゆっくりと中から引き抜かれれば、喪失感に吐息が漏れる。
高く上げた腰を下ろすことすら億劫でそのままの体勢で力尽きていれば伸びる手。
「ごめん。久しぶりで。」
ひょいと私を抱え上げベッドに寝かしつける姿は、可愛い顔をしながらもやっぱり男の人で、そのギャップにも胸が高鳴る。
私をベッドに寝かしつけた研磨は下着だけを身につけると、ふらりとベッドから離れ冷蔵庫からミネラルウォーターを1本取り出し私の隣に座り込む。
水、欲しい。
研磨とのセックスで体力を使い果たし、声さえ出すのが億劫な私は研磨の腿を叩く。
それに気づき目を合わせた研磨はミネラルウォーターを口に含むと、唇を重ねてくる。唇を割る舌が冷たくてそのまま舌を絡めれば、そのまま舌を伝い口内に含まれた水が口移しで流れてくる。それを喉を鳴らしながら飲めば、口の中に水がなくなったタイミングで唇が離される。
数回同じように水をねだればだいぶ喉が潤されたが、行為中に出しすぎた声の代償に声がカサカサだ。
「ん、ありがと。」
「いっぱい可愛い声出したもんね。声無理しなくていいよ。」
「大丈夫、だよ。」
そう言いながらベッドから上半身を起こすと軽く伸びをする。普段使わない筋肉が悲鳴をあげているため、明日の筋肉痛が怖くて無意識に大きいため息を吐く。
「ね、夏乃」
「どしたの、研磨」
「後悔、してる?」
なぜそんな不安げな顔をするんだろう。
考えを巡らせれば、直前にした大きなため息に行き当たり、違うと首を振る。
「昔は無茶なセックスしても筋肉痛なんて皆無だったのになって。」
「…他のやつ思い出して欲しくない。」
「違うよ。研磨とのが良すぎたってこと。」
「…じゃあ、付き合っちゃう?」
ふいに研磨の口から溢れた言葉に息が止まる。なぜそんなことを言うのだろう。
「…本気?」
「嘘でこんなこと言わない。」
大学生の時に別れてからの初めての再会。それなのにそんな言葉を言われれば誰だって警戒する。
「ドッキリとかじゃないよね。」
「違う。本気。」
きんいろの、猫のような瞳を細めながら握られた手は、先程よりも暖かい。
しんじて、なんてか細い声で首を傾げられたら、それは信じるしかなくなってしまう。
わかった、と呟けば、晴れる研磨の顔。
そのまま両頬を包まれれば、先ほどの行為とは真反対の優しげなキスが降ってきた。