第40章 『センセイ、もう一度質問いいですか?』灰羽リエーフ R18
「大丈夫か、椎名。」
あの時と変わらない声に、涙が出そう。
「大丈夫じゃないです。」
声を震わせないように、必死に出した声。
「足を捻ったみたいです。」
離れたくなくて、咄嗟についた嘘。
「そこのホテルで少し休みたいです。」
指差したのは煌びやかな装飾の"休憩"ができるホテル。
「『質問、いいですか?』灰羽先生。」
合言葉を口に出せば、先生が小さく舌打ちをし私の手を引いて歩き出した。
私が怪我をしたと嘘をついた足を気にしてゆっくり歩いてくれる先生の気持ちが嬉しかった。