第40章 『センセイ、もう一度質問いいですか?』灰羽リエーフ R18
今日も居ないと肩を落とし、電車に乗ろうとホームへ上がる。
スマホを起動しイヤホンの端子を指すと曲を流す。
耳にイヤホンを入れようと顔を上げて、私は目を疑った。
反対側のホームの後ろ。
見間違えるはずのない人より一つ抜きん出たシルバーを私の目が捉える。
相手も同じらしく、私の視線の先のエメラルドは驚きで見開かれていた。
走り出していた。
トートバッグに音楽のかかりっぱなしのスマホを投げ入れて。
周りの喧騒など御構い無しに。
まって
まって
逃げないで
階段を駆け下りて、反対のホームへ上る階段に向かおうとしたところで誰かにぶつかる。
跳ね返って後ろに倒れそうになった体をぶつかった相手が支えてくれる。
ありがとうございますとお礼を言おうと上げた顔。
また
息ができない
「せんせ。」
逢いたかった。