第38章 『S系女子の捕獲』 日向翔陽 R18
side日向
くたり。
夏乃ちゃんの体の力が抜けたのに気づき、そっとベッドに体を倒す。
「夏乃さん、預かってるから。」
リエーフから連絡が来た時、どくんって心臓が跳ねた。
すぐに電話が切れ、メッセージアプリに地図が来た瞬間、いつの間にか走り出していた。
フロントに着きエレベーターに乗っている間、早く着かないかと気持ちが焦った。
エレベーターが開いた時に聞こえたおれを呼ぶ声。
部屋に入って見たリエーフに組み敷かれている夏乃ちゃんの姿。
全てがコマ送りのように見えて思わずリエーフの胸倉を掴んでいた。
誤解が解けた後もぐるぐる、消化できない気持ちが渦巻いていつもより綺麗な夏乃ちゃんを乱した。
おれの、なのに。
はあと息を吐きさらりと前髪を避けてあげると、夏乃ちゃんはくすりと笑った。
自覚があるのかないのか、夏乃ちゃんはふらふらって他のところに行ってしまう。
おれのだって証が欲しい。
そう思うのは間違っているのだろうか。
ぐるぐる回る嫉妬の渦。
自分でさえも制御ができない。
少しだけ明るくなって来た空を見ながら、おれはため息を吐いた。