第36章 『残業終わりの甘い誘惑 後編』黒尾鉄朗 R18
目を開けたら見知らぬ天井。
痛む身体。
横を見ればすやすやと眠る上司…もとい黒尾課長。
夜のことを思い出し急に恥ずかしくなり布団から出ようとすると、くんと腕を引かれベッドに逆戻り。
「なぁに逃げようとしてんの?」
眠たそうな、少し掠れた声。
髪の毛の隙間から覗く瞳は、優しいながらも私を捉えて離さない。
「逃げようだなんて…」
「だって隣から出ようとしたからさ。」
「それは…」
「それは?」
恥ずかしかったからです!!だなんて言えない…
ぽふり、と頭に手が乗る。
「冗談。風呂の準備するから風呂入ろうか。」
くすり、と笑い声を残しながら黒尾課長はバスルームへと消えていく。
本当、場慣れしている…
心臓もたない…
きっと真っ赤になっているであろう顔を隠すため、私はシーツに潜った。