第32章 『S系女子のいいわけ』 日向翔陽 R18
お手洗いで化粧を直す。
淡めのピンクのグロスもしっかり塗った。
はあ、とため息を吐き、お手洗いの外に出れば待ち構えるグリーンの瞳。
「待ってた。」
「わたしは待ってない。」
「おねーさん冷たい。」
「だって童貞にしか興味ないもの。」
だんっ、と目の前に長い腕。
前後を塞がれ、壁に押し付けられる私の体。
「何?おねーさんSっ気あるの?じゃあ日向とのセックスっておねーさんがリードしてんの?」
ふいと横を向きノーコメントを貫けば、ワンピースの裾を長い指が割る。
「もったいない。お姉さん、俺の下で啼いてる方が絶対可愛い。
ねえ、今から抜け出そうよ?」
するりと太ももを撫でられ、再び体が泡立つ。
そのまま指が後ろに伸びたと思ったら、ぱちり、と下着のゴムを弾く。
「絶対嫌な思いはさせないからさ「何してんの、リエーフ。」
声がした方を向けば、いつもより視線の鋭い翔ちゃんが、いた。
「ん?おねーさん口説いてんの。だってこんなヤリ手のおねーさん、日向が満足させられないなって思って。
だからさ、今日だけ夏乃さん貸してよ。」
にまり、銀髪の彼が笑う。
翔ちゃんは私たちに早足で近づいてくる。
そして、彼の長い腕を弾くとわたしをぐいと引き寄せた。
「夏乃ちゃん、目瞑って。」
有無を言わせない雰囲気に強めに目を瞑り、次に来る衝撃に耐えるためわたしはぐっと奥歯を噛み締めた。