第32章 『S系女子のいいわけ』 日向翔陽 R18
やってきました、週末の夕方5時半。
待ち合わせの駅まで行けば入る、翔ちゃんからのメッセージ。
"こっちはみんないるよ?"
「いま、改札抜けた…っと。奈々花、向こうもう着いたって。」
「やば、急がなきゃだ。」
かつかつとふたり、ヒールを鳴らしながら待ち合わせである街頭テレビの前へと急ぐ。
隣を走る奈々花の本日のコーデは白レースのミニワンピに丈の短い明るい青のデニムジャケットに大きめリボンのついたオープントゥパンプス。
コットンパールが一粒、チェーンを伝っているデザインのピアスが歩くたびにゆらゆら揺れている。
鞄は小さめのショルダー。
隣を歩くわたしは、ネイビーのオープンショルダーのシャツ風イレヘムワンピース。
裾が割れてスリットになっているのがお気に入り。
アンクルストラップが付いた白いレースのピンヒールパンプス。
ピアスはピンクの華奢な花がモチーフ。淡いピンクのストーンが揺れるかわいいやつ。
小さな白いショルダーバッグにはお財布と化粧ポーチ、ハンカチ、スマホ、そして忘れちゃいけない必需品、コンドーム。
二人して完全に男ウケする服装。
服装が乱れないように気をつけながら走ると、見えてきた目立つオレンジの頭。
「翔ちゃんっ!」
声をかければ、翔ちゃんはわたしを見て笑う。
「夏乃ちゃん!」
駆け寄ってきてハグ。
小さな声で「今日もめちゃくちゃかわいい。」の褒め言葉。
「ね、翔ちゃん。みんなのこと紹介してよ。」
背中をぽんぽん叩いて促せば、翔ちゃんはわたしを腕の中から解放し、代わりに手を繋いでみんなの所へ連れて行ってくれた。