第32章 『S系女子のいいわけ』 日向翔陽 R18
翔ちゃんがいた。
わたしの知らない顔の翔ちゃんが。
バレーコートの中で輝く、わたしのいとこの、彼氏の翔ちゃんが。
でも、それ以上に周りに輝くバレー選手の顔も輝いてた。
「何でバレーの選手ってこんなにイケメンが多いんだろう。」
奈々花がそう呟いたけれど、確かにそうだ。
スポーツ雑誌のはずなのに、まるでアイドル雑誌を読んでいるような気持ちになるくらいキラキラしたページに思わず見入る。
「いいなー夏乃。私もこんなイケメンたちとお近づきになりたい。」
はあっ、とため息をつきながら隣の椅子に腰を下ろす奈々花。
確かにイケメンハーレムいいなー。
お近づきになりたいなー。
あ、そっか。
「翔ちゃんに聞いてみればいいんだ。」
私は手に握りしめていたスマホのメッセージアプリを開くと、翔ちゃんに送るための文章を作成し始めた。
結論から言うと、わたしと奈々花は週末に行われる予定の翔ちゃんたちの飲み会に参加させてもらえることになった。
翔ちゃんからは「おれも夏乃ちゃんと一緒なの楽しみ。」って来たから、まあ、機嫌は悪くないでしょう。
はあ、と息を吐くとわたしは机にスマホを置いた。